尺八のダイナミクス

2021年05月19日

ダイナミクスというのは音楽/音声編集では《音の強弱》のことを意味します。演奏上ではフォルテ(f)だとかピアノ(p)だとか。編集ではdBの大小だとか。そしてここでは尺八という楽器の音量についてお話しいたします✨

なぜかというと、尺八演奏の際【音量】【音質】【ピッチ】それぞれの傾向について知っていると上達が爆速になると考えたからです🌱

  1. 尺八の音量傾向、mf音量
  2. 最大音量
  3. 最小音量

こちら3点、行ってみましょう(^O^)/

上が尺八、下がピアノカラオケ音源の波形
上が尺八、下がピアノカラオケ音源の波形

1、尺八の音量傾向、mf音量

知っていて便利な尺八の音量傾向は以下の3点。マイク録音で波形を見るとわかりやすいので、試してみてくださいね✨

  • 音によってものすごい音量差がある
  • 全ての音が均等に出ているのは【歌口】
  • 尺八毎に、全ての音がほぼ均等に出せる音量がある

特に最後がとても重要なのですが、1つ1つ解説してみましょう🌿


音によってものすごい音量差がある

西洋楽器は基本的に、なるべく12音階全てが均等に鳴るように作られています。しかし尺八はその為に作られていません。まず【メリカリがある】という時点で音量に差が出ます。次に【大甲/甲/乙】で差があり、トドメに【やろうと思えばものすごいpで吹ける】が来ます。

・メリ→音量が小さくなる
・カリ→音量が大きくなる
・大甲→最大音量(特に1尺8寸管のB♭/A/E♭)
・甲→中音量
・乙→中音量〜小音量
・p→無限大

こちらを覚えておくと演奏にも録音にも便利です❗️❗️


全ての音が均等に出ているのは【歌口】

尺八の1番の音の出どころは指孔なのですが、それだと録音の時に全ての指孔を狙ったマイクを設置しなくてはなりません。しかもそうすると演奏中微動だにできません笑

ですが歌口はメリカリしなければずっと開口面積と音の出どころが変わらずにいてくれます。なので尺八録音の時とライブでマイクを使う時は歌口を狙うマイクを1つ、基本として置いておきましょう。


尺八毎に、全ての音をほぼ均等に出せる音量がある

演奏において重要なのがこれです。全ての音と書きましたがメリカリは除外💦言い換えれば

乙 ロツレチハ 甲ロツレチハ 大甲ピ 大甲ピ 甲ハチレツロ 乙ハチレツロ

と同じ息の一息で全部出せる音量ポイントがあるのです。それが尺八毎に違う【全ての音を均等に出せる音量】です。さらに言葉を変えるなら尺八のmfです。

逆に言えば、これから外れる音量だと各音で【音量】【音質】【ピッチ】に差が出るということ。めいっぱい乙ロを吹いてそのまま何も工夫せずにチに行くとほとんどの尺八はピッチが爆上がりすると思います。甲のハをめいっぱい吹いてそのまま乙ロに行こうとすると、切り替え感を持たなければもはや音が出ないのもこれが原因です。

結論、このmfポイント以外の音量を吹くには【各音でなんらかの工夫が必ず必要】ということです。


2、最大音量

先ほども触れましたが、尺八の最大音量は1尺8寸管で言えば大甲のB♭/A/E♭あたりです。大甲のハの大メリ、大甲のチ、タ or 二五のハで合ってるはず。大甲の四/レ/ツ、甲のハが続きます。

収録やライブでマイクを使う時これらの音が曲中に出てくるのであれば、ゲインをこの音をめいっぱい吹いてる時に合わせておかないと音割れします。この音のせいで他が小さくなるわけです(キレ気味)

まあスタジオ録音を前提とした曲ではなく、コンサートホールでの演奏を前提としている曲なのでしょうがないのですが…

これら最大音量は箏30人がfで弾いてる時、ピアノの音数が派手なところ、に匹敵します。乙の音だと確実に消される場面でも問題なく聞こえます。尺八のmf音量から大分差がある音量ですね。


3、最小音量

尺八は工夫次第で無限大の最小音量を出せる楽器です。西洋楽器との決定的な差はここ。

西洋楽器だとほとんどの場合【pはここまで】という限界が存在します。ピアノの鍵盤をゆーっくりやさしく押しても音は鳴らないですし、ヴァイオリンも音が出る必要最小限の摩擦以下になると音が出ないポイントがあります。トランペットもいい例で、超大音量ですが唇自体を震わせるというダイナミックな方法で音を鳴らしているのでpには結構限界があります。

しかし尺八は最大音量ではなく最小音量が無限大なのです。Youtubeに上がっている三橋貴風先生や福田輝久先生の動画が良い例なのですが、首を左下に下げる動作があります。あれはメリではなく、歌口の開口面積を開けながら極力歌口に唇を近づける技です。これができれば無限大のpを楽しめるので、是非練習してみてくださいね💐


終わりに

本日は《尺八のダイナミクス》ということで

  • 尺八の音量傾向、mf音量
  • 最大音量
  • 最小音量

こちら3点のお話をしました✨

明日は音質について書こうかな?


京都の尺八奏者ー元永泰輔(Motoshakku)


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