尺八の性能 3傾向

2021年05月11日

尺八の性能は工房さんによって相当違います。何によって性能が決まるかというと…

  • 内径の構造
  • 歌口
  • 指穴の位置
  • 指穴の大きさ

主にこの4点が絡み合って音色/音量/ピッチ/メリカリのしやすさが決まるようです。

「内径の構造がこうだから音色がこうなって…」「4孔の位置をちょっと変えないとリが低いかな…」など、奏者としても傾向は知っておきたいところですが、言語化に至っていないので今回は3つの《尺八の性能傾向》をご紹介します。

尺八選びの参考、または自分が吹いている尺八の傾向を知るきっかけになれば幸いです✨

  • 傾向1:大音量尺八
  • 傾向2:全体的にピッチを高めにしたメリ吹き尺八
  • 傾向3:昔ながらの尺八に若干の修正を加えた尺八

こちら3ケース、早速見て見ましょう(^O^)/

尺八の性能は千差万別
尺八の性能は千差万別

傾向1:大音量尺八

どの楽器にも音量の限界があり、現在の尺八の平均的な音量はフルートよりちょっと小さいか同じくらいかと思います。メリを勘定に入れて考えると確実にフルートより小さいくらい。

またホールでは問題なく響いてくれますが、尺八は音の出どころがバラバラなのでマイクでバランスよく拾うのは一苦労。ゲインを上げすぎてハウリングぅなんてことはしばしばです。

そんなこともあって「ライブや西洋楽器とのコラボ、中型アンサンブルの演奏が多いから大音量の尺八が欲しいなあ」と思っている方は少なからずいらっしゃいます。

この問題を解決するのは簡単で

  • 指穴が大きい
  • 歌口が深い

この2点の特徴を持った尺八を選べばほぼ間違いなくそれは【大音量の尺八】です。音の出どころの1つである指穴が大きければ音は大きくなります。そしてカリのまま指だけでメリの音も出せるでしょう。歌口が深ければカリの状態で吹き口がもっとも唇に近くなるので、フォルテが一番吹きやすいことにもなります。上記のような演奏が多い方には即オススメです。

私の2尺管がこの種類で、CマイナーやFマイナーのロック/ポップス/フュージョンを吹くのに使っています。

問題点としては

  • メリによる音色変化をつけるには工夫を要する
  • ピアニッシモで限界まで行くにも工夫を要する

こちらが挙げられます。昔ながらの尺八を吹きなれている人にとって大音量尺八が《古典が吹きにくい》と感じる要因でもあると思います。

古典本曲と地唄箏曲は独奏〜4重奏までの小さな編成なので音量はそこまで必要ありませんし、そこまでダイナミクスを必要とする音楽でもないと私は考えています。どうやって音楽性を持たせているかと言えば、【音色変化による立体感】と【きめ細かな装飾音】。ということは音色変化を楽に行えた方がいいですし、大きい音よりもピアニッシモの限界が楽に吹けた方が助かります。

要するに大音量尺八というのは《音量にステータス振った分、音色変化のステータスは低い》ということです。

「全部吹き方変えて対応すればいいじゃないか!」というのは自分に対しても相手に対しても酷です。《全能尺八》は今の所存在しません。というか元がシンプルすぎるので今後も出てくることはないでしょう。《傾向》と《音色》の違いは確実に残ります。

曲に合わせて使い分けることができるほど多種多様な傾向と音色がある楽器。とても素敵じゃないですか🍀


傾向2:全体的にピッチを高めにしたメリ吹き尺八

傾向1:大音量尺八とは真逆に位置するような尺八です。傾向として歌口が浅かったり指穴が小さかったりしますが、見るだけで区別は付きづらいので実際に吹いてみましょう。普段の吹き方で軽く吹いたらピッチが442Hz超えるんだけど…みたいな子です笑

私の1尺6寸管がそうなのですが

  • 基本がメリ吹きなのでめちゃくちゃ艶やかな音色
  • メリカリによる音色変化が激しいので古典に向くし歌っているように吹ける
  • シュー音が少ない

というメリットがあります。

デメリットを挙げるとしたら音量がちょい小さいこと。しかし納得済みなので私自身としてはデメリットにも感じません。なにせ《音量を捨てて全ステータス音色変化に振った尺八》が欲しくてこの尺八を選んだので笑

もう1つ言うなら音色変化が激しいということはピッチの変化も激しいということ。この傾向の尺八はしっかりコントロールして吹かないといけません。

「歌ってるように吹きたい!」「古典曲を中心に演奏したい!」という方にはこのタイプがオススメです。


傾向3:昔ながらの尺八に若干の修正を加えた尺八

私の1尺8寸管2本が当たります。この2本、さらに細かく言えば【現代曲用の7孔が若干音量寄り】【古典曲用の5孔が若干音色寄り】です。

傾向1/傾向2をみてピンと来た方もいらっしゃると思いますが、尺八のステータスは大きく分けて音量/音色変化の2つ。総量が10だとして、音量に7振ったら音色変化は3。音色変化に6振ったら音量は4になる、というバランスゲームです。

ということは傾向3の尺八は音量5/音色5のバランス型、と言えるでしょう。初心者の方や、1本でなんでもやっちゃいたい人にオススメです。

もちろんステータス総量が15の尺八だってできるかもしれませんし、尺八ステータスを奏者の技術でカバーするのは当然のこと。

例えば、音量7/音色変化3の尺八を使っている人は音色変化の技術を発展させれば音量7/音色変化7にできます。音量3/音色変化7の尺八を使っている人はなんとかして音量を出せるようにして音量5/音色7まで持ってくるでしょう。その技術も尊いものです。


終わりに

今回は『尺八の性能 3傾向』ということで

  • 大音量尺八
  • 全体的にピッチを高めにしたメリ吹き尺八
  • 昔ながらの尺八に若干の修正を加えた尺八

の3点を紹介し、【尺八には音量と音色変化のステータス割り振りが付き物】というお話もしました♪

繰り返しになりますが、尺八毎に《傾向》《音色》が違います。
尺八を選ぶ時、是非参考にしてみてください。

明日は何を書こうかな?


京都の尺八奏者ー元永泰輔(Motoshakku)


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