尺八の音声編集#1-基本編-

2021年05月06日

「CD音源の音を参考に音作りしてるのだけど、全然近づけない…」「録音してみたのだけど、自分ってこんなに下手…?」安心してください。CD音源はめちゃくちゃいい演奏環境で、とてもいいマイクを使って、適切な距離と方向で、録音しています。さらには音声編集してるものもあります。

【CD音源は参考にならない】という訳ではなく、CD音源を参考にするなら【録音環境/マイク/録っている距離感/音声編集】のことも考えて参考にしましょうと言いたいのです✨

今回はその中の《音声編集》って一体何をしているのか、を書いてみます(^_^)
#1は基本編♩

  1. 音を重ねる
  2. 音量バランスを調整する
  3. イコライザーで全体の音量を均等にする
  4. ノイズを除去する
  5. エフェクトをかける

大雑把に言うとこの5段階、もしくはそれ以上の工程を経てCDは出来上がっています。
詳しいやり方はまた書くとして、今回は「こんなことしてるんだ!」くらいの内容です😊

ガレージバンドの音声編集画面
ガレージバンドの音声編集画面

1、音を重ねる

上の【ガレージバンドの音声編集画面】、5個波形が出ています。5パートある曲なのかな?と思うかもしれませんがこれは全部、同じ尺八の同じ演奏です。

左側に書いているのは、マイクの種類とどこからの音を録っているか。例えばon SM57はめちゃくちゃ楽器の近くをダイナミックマイクで録っている、ということです。他のも解説すると

・H2n leftーH2nというマイクで録った左側の音

・H2n rightーH2nというマイクで録った右側の音

・off RODEーonよりは離すけど遠距離とまではいかないところからマイクRODEで録った音

・遠距離AKGーなるべくマイクAKGを楽器から離して、空気感を録った音

これは【スタジオ録音で音に立体感を出すため】という1つの方法でしかなく、CD音源は違う録り方(元々響の良いホールで音をほとんど重ねずに、だとか)をしていることの方が多いですが、ホール録音じゃないのに妙に厚みがあったりする場合は間違いなくこうして重ねています。

よーく箏×尺八のCDを聞いてみてください。左側からちょっと箏の音大きめ、右側からちょっと尺八の音大きめ、でも全体の雰囲気も聴こえる、みたいに聴こえる場合。左/中央/右の3マイクで録ったものを重ねてる可能性もあります。


2、音量バランスを調整する

重奏だとわかりやすいです。箏が小さすぎて尺八が大きいなあという場合、重ね録りしているのであれば音量バランスを整えるのは造作もありません。

もちろん演奏会場でその場でバランスの良い演奏をする力も必要ですが、CD音源はそういうことをしている場合もある、と覚えておきましょう✨

ちなみに、私は尺八独奏を5トラック録音しているわけですが、なんの為かと言うと。【LR/中距離/近距離で立体感を出し、それを遠距離で包み込む】為です。なので、遠距離は大きめ、近距離は小さめの音量バランスになっています(^O^)


3、イコライザーやミキシング/マスタリングで全体の音量を均等にする

ここまでくると、実際の聞こえ方とはちょっと変わってきます。
POPSやロックだとわかりやすいのですが、音源を聞いていて「うわっ!急にボーカルだけおっきくなった!」ってこと、あんまりないですよね?

曲全体がサビで盛り上がるとしても、メロ部分と比較してうるさすぎることはないはずです。またアルバム一本通して聞いても、急にこの曲だけうるさい、ということもないです。

これら全て、イコライザーやミキシング/マスタリングの仕事のおかげです。

イコライザーは、特定の周波数の音だけを抑えたり上げたりするエフェクト。例えば録音していて、尺八の【タ】の音だけうるさくなる、なんてことは日常茶飯事。でもイコライザーならその【タ】の音とその周辺の周波数の音(ヒだとか四だとか)を滑らかに抑えることができます。しかも、抑えるのは音量だけなので、強い音であるというニュアンスは残ります。

そしてミキシング。ボーカル/ギター/ベース/ドラムという4楽器があったとして、ボーカルが小さくてドラムしか聞こえない、なんてCDではあり得ませんよね?ミキシングは他にもしていることはたくさんありますが、各楽器の音量/もしくは1楽器を重ねる時の音量バランスを整えるのもお仕事です。

トドメにマスタリングがあります。アルバムを通して、この曲だけうるさい。この曲だけ環境違って聞こえる。ということがないように、アルバム全体を整えます。

これがイコライザーやミキシング/マスタリングの力です。そんな職人の力が働いていると分かれば、無闇矢鱈に参考にして思い悩むことは無くなると思います笑


4、ノイズを除去する

もうこれは言うまでもないですね笑
どうしても宅録ですと、換気扇や空気が流れる音/生活音が入ってしまいます。たとえめちゃくちゃ良い録音環境だったとしても、それでもなんらかのノイズは発生するもの。

それをある程度除去できるのも音声編集の強いところです。

ちなみに、尺八を吹いている時のシューという音。あれはほぼ消せないと思っていて大丈夫です。消せるには消せますが、多分変になります。ただし、録音で少なくする/隠すという方法はあるので、また違う記事で書くとしましょう😀


5、エフェクトをかける

皆様お待ちかねのエフェクトのお時間です。
他種多用なエフェクトがありますが、主に以下のとおり

  • ダイナミクス/音量
  • イコライザー/周波数体域補正(音量微調整)
  • ピッチ/音程
  • フィルター/ノイズ処理
  • イメージング/LR立体化
  • リバーブ/音響空間
  • モジュレーション/コーラス(位相、音ズラし演出)
  • ディストーション/歪み(音割れ演出)
  • スペシャライズド/前後位置関係(立体化)

これらを調整して自分好みの音に仕上げます。逆に言えば、音にはこれくらい考える要素が詰め込まれている、と言えますね✨


終わりに

気軽に書き始めたらとても長くなってしまいました💦
しかしこれで、音声編集ってこんなことしてるんだ!という全体像は掴めたと思います😁

そうすれば、CDを聞いた時も「あ、遠くから録ってる!」「お、LRで立体感出しとんな!」とより詳しく音を解析できるようになります。

今度は詳しいやり方も書きたいな🌱


京都の尺八奏者ー元永泰輔(Motoshakku)


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