尺八購入チェック項目

2021年07月08日

尺八を買いたいのだけど、何を基準に選べばいいかわからない。そもそも近くに尺八工房が1つしかなくて選びようが無い。先生から勧められたまま買ってみたけど何がいいのかわからない。

他の楽器業界と比べると結構な大問題を抱えているように思います。

尺八工房についてはいつか全国行脚して取材し、全てをまとめて紹介するという夢があるので乞う御期待して頂くとして…

今回は購入の際の《尺八購入チェック項目》を考えたいと思います🎵

  1. まず、どんな尺八が欲しいか
  2. 鳴るポイントを掴む
  3. 全体: 音量/ ピッチ/ 音質 バランス
  4. 上管: 音量/ ピッチ/ 音質 バランス (レ、チ、ハ、ヒ)
  5. 首メリカリ範囲/ 指メリカリ範囲/ メリの最大音量
  6. タンギング反応: tu pu 横隔膜
  7. 大甲群
  8. 1打ち/ コロコロ/ 琴古スリ手群
  9. 曲を通す or 本番に出す or 収録する

このあたりでしょうか… 一先ずちょっとずつ解説します🌱

尺八購入チェック項目
尺八購入チェック項目

1、まず、どんな尺八が欲しいか

《ねらい》はここでも大事です。【バランスの良い尺八】というのは存在しますが【全知全能の尺八】というのはまず存在しません。地唄三曲や本曲、普化をたくさん演奏する。ポップスやロックをたくさん演奏する。など、自分がやりたい曲、多くやる曲で《ねらい》を定めると良きと思います。

尺八性能の傾向については→尺八の性能 3傾向 こちらで紹介しているので参考にしてみてください🌱


2、鳴るポイントを掴む

尺八試奏の際まずはこれ。いつも自分が吹いている尺八と比べて【メリ寄り〜似ている〜カリ寄り】の中に必ずその尺八のポイントがあります。

そして鳴るポイントを掴む時、1音ずつ吹いても効果は薄いです。チが鳴っててもそのままロに行けなかったらそれはポイントがズレてる、もしくはしっかり運指できていないことになります。こういったポイントを掴む作業には

尺八のダイナミクス / 尺八の音質 / 尺八のピッチ

こちらを是非参考にしてくださいませ✨


3、全体: 音量/ ピッチ/ 音質 バランス

ポイントを掴んだらいざ細かくチェック。乙ロツレチハ 甲ロツレチハ を上方下方両方連続して吹いて、音量/ ピッチ/ 音質を見ていきます。

【音量】
音量については、H2nなどの音量メーターがみれるレコーダーなどを持っていくと便利です。例えば私の1尺8寸管だと、どれだけ均等に吹こうとしても甲のリ(C)だけ結構大きく鳴ります。ポイントを掴んで、自分に大きな癖がない限りは、あとは尺八性能ということ。

【ピッチ】
尺八のピッチ にて触れています。ロを442Hzや440Hzに合わせて、そのままチに行ったら+10cent、だとか。裏ヒを442Hzに合わせて下降してみたらリが−10cent、チが±0、レが+5cent、ツが±0、ロが−5cent、とかよくあることです。何かを基準にして全てが±10cent以内に収まっているなら超絶優秀。特定の音(特にリ・裏ヒが低い/ チが高いがありがち)が±20centで他は大丈夫、なら若干の修正を依頼する。という感じです。もちろん反応の良いチューナーでチェックしましょう✨

【音質】
音量、ピッチでポイントを掴めば自然とそれが【その尺八が得意な音質】です。音量重視なら広がりのある音ですし、メリ吹きで442Hzがピッタリならキュッと詰まった艶のある音。これも尺八の音質で解説しているのでどうぞどうぞ🎵 音質に関して可視化するとすれば周波数特性なのですが、PCとA/IFとマイク持参はなかなかごついですね笑


4、上管: 音量/ ピッチ/ 音質 バランス (レ、チ、ハ、ヒ)

上記3とすることは一緒ですが、特に上管部分 (レ、チ、ハ、ヒ)は入念に、という話です。ロとツはメリカリで音程が変わりにくい音ですし、元々がちゃんとしてる尺八のほうが多いのでまあ大丈夫。ですがレチハヒの元々のピッチが爆裂変わってるともうぐっちゃぐちゃ。チの時はちょっとメリ、リの時は結構カリ、レは出にくいからちょっと弱めに吹いて… なんて古典本曲くらいでしかやってられません。

ホゾが緩んでるともはや上管が鳴らない…ということもありますし、上管部分の音のチェックは入念にするようにしましょう。


5、首メリカリ範囲/ 指メリカリ範囲/ メリの最大音量

自分の練度によるところも大きい項目ですが、顎あたりと歌口の深さ/ 指穴の大きさによって【首メリカリ範囲】【指メリカリ範囲】が持っている尺八とは違う場合があります。

  • 「首ゆっくりぐるぐる」と「超ゆっくりスリ上げ&スリ下げ」
  • 「首キレッキレメリカリ」と「スパッとかざし」
  • 「首と指の組み合わせでメリ最大音量探し」

こちら3点を試して、【首メリカリ範囲】【指メリカリ範囲】【メリの最大音量】を特定し、さらに【全音との音量バランス】を見つけ出すのが良きと思います。メリカリについては↓

みんなでメリ上手になろう! / みんなでメリ上手になろう! #2 / みんなでメリ上手になろう! #3

こちらを参考に(^O^)/


6、タンギング反応: tu pu 横隔膜

よく聞く「反応が良い尺八」というのがよくわかるのがこちらの項目です。正味、こちらも自分の好みによる部分も大きいところ。

【反応が良い=広がりのある音がすぐに出てピッチが合う=タンギングは超やりやすい/ キュッと詰めた音色で吹こうと思うとピッチがガン下がりするので工夫が必要】ということなので、「反応が良い=全能の証」ではありません。傾向として「音量大/ カリ吹きが得意/ 広がる音色」に当てはまる、ということ。

逆ならば【反応の鈍い尺八=結構息を前に詰めてメリで吹くと反応して、きゅっと詰まった音が出る=タンギングの際には結構工夫が必要/ 広がる音を出そうとするとピッチガン上がり】です。「音量小/ メリ吹きが得意/ 詰まった音」という傾向を持った尺八、という話。

ここも音色や演奏する曲の好みの問題。まああまりにも反応鈍いとただただ吹きにくいですが笑

まだ尺八のタンギングについての記事を書いていないので伝わりにくいかもですが、tuのタンギングは皆様お馴染みだと思います。問題はpuと横隔膜タンギングがやりやすいかどうか。こちらは追記します🌱


7、大甲群

こちらは単純。大甲群が出やすいか出にくいか、もしくは出ないかです。チェックする音は1尺8寸で言えば

「D、E♭、E、F、F♯、G、G♯、A、B♭」

ここまで。タとか四とか、ツやレの上に○がついてたりするあれです笑 これらの運指については他サイトさんを参考にしてくだされ(^O^)/


8、1打ち/ コロコロ/ カラカラ/ 琴古スリ手群/ 変え指群

こちらも単純。チやレの1打ちが効くかどうか。コロコロの音程が合いやすいかどうか。カラカラはできるか。琴古のメリ殺しスリ手はやりやすいか。ロのカリ、ウの三、チやレのメリ替え手(2孔塞ぎと1孔塞ぎ)、乙の二四五のハはできるか。

都山の手は大体の尺八でできるのですが、琴古のメリ殺しスリ手などは尺八によってできなかったりもします。メリ殺しスリ手についてはまた解説しましょうね💐

こちらのバランス感覚としては【昔ながらの奏法ができる=音量小/ ピッチに工夫が必要】【昔ながらの奏法ができない=音量大/ ピッチが安定】と考えられます。チの1打ちなどは、昔ながらの調律方法でしか鳴らない音だったのだと思います。


9、曲を通す or 本番に出す or 収録する

最後に、これをやらずに買うとまぁ後悔します。結局尺八を買って何をするかというと、曲を演奏することです。そして本番や収録の際の集中力は練習の時とは否応なく違います。本番や収録の時に気づくことがたくさんあるのはその為。

色々チェック項目を書いてきましたが、全てが一挙に押し寄せるこの【曲を通す or 本番に出す or 収録する】は欠かせません。

そして非科学的ですが【楽器との相性】というのもなんとなーく感じられるとすればここ。細かく見れば「こうゆう音が出したいという心の深い部分での欲求と、認知している現実で鳴ってる音との差」だと思うのですがもはや数値化が難しすぎて【楽器との相性】って言葉にまとめたくなります笑

ということで、楽器購入の前にできれば【曲を通す or 本番に出す or 収録する】をしてみましょう✨


終わりに

またボリュームデカすぎて全然集中できなかったですがなんとかまとまりました笑

  • まず、どんな尺八が欲しいか
  • 鳴るポイントを掴む
  • 全体: 音量/ ピッチ/ 音質 バランス
  • 上管: 音量/ ピッチ/ 音質 バランス (レ、チ、ハ、ヒ)
  • 首メリカリ範囲/ 指メリカリ範囲/ メリの最大音量
  • タンギング反応: tu pu 横隔膜
  • 大甲群
  • 1打ち/ コロコロ/ 琴古スリ手群
  • 曲を通す or 本番に出す or 収録する

尺八購入の前に、こちら9個のチェック項目を参考にしてみてくださいね🎵


明日は何を書こうかな?


京都の尺八奏者ー元永泰輔(Motoshakku)


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