是非1曲、独奏を

2021年04月23日

「是非1曲、独奏を」ということで、尺八独奏曲の素晴らしさを語る回です。
なぜ語りたいかと言うと、《尺八の本気を見られるのは独奏曲》だと考えているからです。そこで

  1. なぜ尺八の本気を見られるのは独奏曲なのか
  2. 独奏曲を練習するメリット
  3. 独奏曲への《最初の一歩》

この3点について書こうと思います🌱
それでは、早速行ってみましょ。

独奏中
独奏中

1、なぜ尺八の本気を見られるのは独奏曲なのか

尺八には本曲という、江戸時代に虚無僧が吹いていた尺八独奏曲を指す言葉があります。『本来の曲』なのか『一本の曲』なのかはわかりませんが、とにかく独奏曲という形が最も発展していました。

琴古流本曲も同じくほぼ独奏曲で、しかも箏や三味線との合奏曲は「外曲」と呼び、本来その楽器の曲では無い曲、として区別していました。

その頃、西洋ではバッハやヴィヴァルディによって音楽は【リズム、メロディー、ハーモニーの3要素からなる】という、現在最も世界で受け入れられている音楽の形が確立していきます。

そして、フルートやバソンなどの楽器は、音楽「リズム、メロディー、ハーモニー」の一部となるべく改良されていきます。

では尺八は「音楽」「外曲」に合わせるために楽器を改良したか?

と言われると、フルートほど大きな改良はしていません。今ある物を最大限使う、日本人っぽくて好きなのですが、多分楽器を改良する前に自分の耳と技量で外曲に合わせていたのだと思います。それまで法器(一般の方が触れない楽器)だったので、いじりづらかったのもあるかも知れません。

現在はメタル尺八や3D尺八等、安定していて反応も早く、【リズム、メロディー、ハーモニー】の一部となりやすい尺八も生まれていますが、多くの尺八には江戸時代からの名残が残っています。

古典本曲や独奏曲を吹いていると「尺八らしいなあ」となんとなく納得する時があるのですが、それはその名残を感じているからかなあと思っています。


2、独奏曲を練習するメリット

独奏曲の良いところは、リズムを感じさせる/感じさせないかも、一連の流れなのか/新しいシーンに入ったのかも、綺麗なのか/力強いのか/荒々しいのか等の対比も、全部自分次第なところです。

今まで人に頼っていた部分を全部自分が引き受けることになるので、伴奏があって、リズムが指定されていることがどれだけありがたいことかがよくわかります。

『音楽になるかならないか、何もかも自分次第』なのです。

スリリングで難しいことではありますが、何か1曲でも独奏曲に向き合ってみると、音楽的にも尺八的にも大きな成長に繋がります。

しかしながら、大学から尺八を始めた方にとっては「いきなり独奏曲なんてどうしたらいいかわからない💦」となること請け合いです。そこで独奏曲への《最初の一歩》もご紹介します(^o^)/


3、独奏曲への《最初の一歩》

独奏曲はどう練習するのか。全体の流れは以下の通りです。

  • まずは楽譜通りに!
  • 名手の音源を聴き、音楽を楽譜に書き込む。
  • いくつかの音源を聴き比べ、自分なりに解釈する。


《最初の一歩》はまず楽譜通りに!です。音については言われなくともその通りに吹くと思いますが、問題はリズムです。独奏曲の楽譜にはよく「テンポ自由」と書かれていて小節もなかったりしますが、よく見ると【大体のテンポ】が書かれていたり、4分音符や全音符/休符などの【リズム】はしっかり書いてあります。

名手は楽譜記載の【大体のテンポ】と【リズム】を基に、書かれていないritやaccel/フェルマータ/スタッカート/テヌートなどの音楽記号を自分なりに、もしくは作曲者と相談して書き加えているのです。

わかりやすい例で言うと"春の海"冒頭1小節です。一度是非、楽譜通りに演奏してみてください。よく知る"春の海"とはかなり違った印象になると思いますが、あれは1小節でaccelしてritした結果です。

ということで、最初は記載の【大体のテンポ】と【リズム】を基にしましょう🌟


曲を掴んできたらその次に、手の音源を聴き、音楽を楽譜に書き込む、です。

先程触れたような、楽譜には書かれていないけど演奏者が加えている音楽記号を楽譜にずらっと書き連ねます。厳密に正解不正解を気にする必要はありません🌸

音楽を自分なりに言葉にしていく作業が重要です。こうすることで「なんとなく」ではない、意味のある演奏になって行きます❗️❗️

書き終わったら、真似して吹いてみましょうね(^-^)


何人かの演奏を参考にしたら最後には自分なりに解釈します。好きな名手の完コピするのもよし。それぞれの好きなところを繋げるのもよし。逆に、名手が選ばなかった選択肢を加えるのもよし。最後は自分で決着をつけます。

相手に伝わらなくても、伝わる人にはこの試行錯誤がちゃんと伝わります。文字だと伝わりにくいかもしれませんが・・・

  • フレーズ1ー「」「」「」「選んだ」
  • フレーズ2ー「」「選んだ」「」「」
  • フレーズ3ー「選んだ」「」「」「」
  • 以降繰り返し…

「」がその時選ばなかった、でも自分の中にはあるフレーズ。「選んだ」が今吹いてるフレーズ。この人は4つの音源を聴き比べて、好きなフレーズを組み合わせて今吹いています。その「」部分がちゃんと人にも伝わる、ということです。

演奏に深みがある、という言葉の一因はここにあると思っています。

以上が、私の考える独奏曲の練習方法です♬


終わりに

まとめますと、

  1. 独奏曲には、「尺八本来」を感じさせる何かがある
  2. 独奏曲を練習すると、音楽の全責任を負う、という経験が得られる
  3. 独奏曲の練習方法は「楽譜通り、名手の真似、自分で選ぶ」

この3点のお話をしました🌿

是非1曲、「独奏曲の演奏方法」を参考に、チャレンジしてみてください!


明日は何を書こうかな?


尺八奏者ー元永泰輔


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