音楽を枠組む

2021年07月07日

大学で言語学を勉強していた時、基本的に文法にも単語にも100%は無く「90%はこういうこと。例外の使い道が10%くらいある。」というような研究をしていました。統語論の生成文法についてもまあざっくり言ってしまえばそういうこと。「大体の言語にこの文法が当てはまるよね。でも日本語だけなんか違うね。」

化学でもこういうのありますよね。炭素の同素体のハナシとか。1+1=2にだって田んぼの田という例外があります(無理矢理

もちろん音楽も空間と空気振動と認知の科学でありますから「大体こうだよね、例外はこれね」というハナシがあるモノです。そしてそれを勉強するにはある程度枠組みが必要。ということで今回は《音楽を枠組む》のです。

  1. 意図/ 楽曲構成/ 楽器編成 : 作編曲時点
  2. リズム/ メロディ/ ハーモニー : 作編曲+演奏
  3. 音階/ 音色/ 装飾音 : 作編曲+演奏
  4. ノイズ/ 周波数特性/ 残響/ 音圧/ 配置: 演奏+ミキシング&マスタリング時点
  5. 認知/ 思考/ 言語化 : 演奏+受け取り側

今日は少しだけ上記5点の枠組みの概要を見てみましょう。

音楽を枠組む
音楽を枠組む

1、意図/ 楽曲構成/ 楽器編成 : 作編曲時点

たかは先輩から拝借。

バッハやヴィヴァルディは教会で使う音楽を作る【意図】がありましたし、現在も「映画に使う音楽」「こういう曲を作りたい」「誰々に演奏してもらいたい」という多くの【意図】があります。

そしてその意図にあった楽曲構成、そして楽器編成が選ばれて作曲されるわけです。

演奏にもミキシングにも受け取りにも、意図は付き物。しかし演奏や録音で構成や楽器編成は変えられません。なのでこの《意図/ 構成/ 楽器編成》は最上位に位置付けました。


2、リズム/ メロディ/ ハーモニー : 作編曲+演奏時点

西洋音楽が【音楽の三大要素】と位置づけたのが《リズム/ メロディ/ ハーモニー》です。これは作編曲時点で決まり、演奏時点で表現され増幅されます。

演奏において「なんで上手くいかないんだろう…」と思ったら闇雲に悩む必要はありません。

  • 楽器をより自由に使いこなすにはどうするか

そして楽器を自由に使いこなし

  • リズムは合っているか
  • メロディが綺麗に聞こえるように正しいピッチで演奏しているか
  • 他の楽器とリズム&メロディが合っているか

を確認してできるように練習すれば、【音楽の三大要素】を大きく抑えたことになるので、相当「上手く行ってるように聞こえるようになる」はずです。

それでも変なら作編曲時点で無理があるか、意図して「上手く行ってるように聞こえないように作られているか」です。


音階/ 音色/ 装飾音 : 作編曲+演奏時点

《音楽の三大要素》の下に位置付けましたが、こちらは【ジャンル】だとか【もう一歩上手に聞かせる】部分に関わる話です。

例えば、民族音楽的な感じを出すときには5音階が使われることがありますし、民族楽器の音色を必要とし、そしてその楽器特有の装飾音を加えて演奏します。民族音楽を聴き比べると、これら《音階/ 音色/ 装飾音》の違いが面白いと感じます。

強気で言って仕舞えば。装飾音を欠いた、もしくは簡略化しすぎた民族音楽は「大きな要素を1つ捨てている」と言わざるを得ません。箏曲においてコーロリンやサーラリンを簡略化することが決して無いのは、この装飾音が大きな要素であるとされ、大切に守られて来たからです。奄美大島の民謡を歌う時のあの節回しが無ければ「これが奄美の曲だ」と言われても他と区別がつかなくなることでしょう。

《音階》の話をすれば、更に他にも7音階/ 12音階/ 無調なども。これらも作編曲時点で意図を持って選ばれます。


ノイズ/ 周波数特性/ 残響/ 音圧/ 配置: 演奏+録音+ミキシング時点

これは特に録音/ ミキシング&マスタリングの際付き合う枠組です。

【ノイズ】
せっかくの演奏も、ノイズまみれでは楽しめません。空間を演出するためのノイズならまだしも、クラシックコンサートでひたすらしゃべってる人がいたら台無しなのと同じです(そういう人は自由につまみ出していい法律ないですかね)

【周波数特性】
そして周波数特性。高域だけ強いとなんだか誰が主役かわからなくなりそうですし、低域だけだとぼんやりごちゃごちゃっとしたり。ソロの場合でも、マイクの設置位置によって良く録れている周波数特性が違ったりもします。これすら【意図】が重要。ここでこう録ったらこうなるからこう編集しよう。その分あっちでこういう音を録って編集しよう。の繰り返しです。

【残響】
艶やかな音にするにも、低音がよく聞こえるようにするにも、逆にデッド(全然響かない)な状態にするにも、高音がやたら聞こえるようになるのも、この【残響】が関係します。ミキシングで言えばリバーブ。実音で言えばホール音響やスタジオの音響システム。

【音圧】
音圧はそのまま音量のこと。前後の位相にも関係しますが、ここではラウドネスとして。大音量でバキバキ聞きたい音楽なのにか細い音量しか出なければしょんぼりしますよね?逆に全体的に静かに聞かせたいのに大音量バキバキ設定にしていたら最初にびっくりしてしまいます。

【配置】
配置は音の配置場所のことです。オーケストラで言えば、客席から見て左にヴァイオリン隊、中央に木管、右に低音弦楽隊、後方に合唱、というような。リバーブ音にももちろん場所があります。いくら周波数特性をいじっても全てが真ん中にあったらごちゃっと聞こえますが、配置場所をどうにかすることで全てが綺麗に響くようにしています。


認知/ 思考/ 言語化 : 演奏時点+受け取り側

最後に、こちらは主に受け取り側の三大要素。人間はなぜか、連続した規則正しい音の周波数変化+リズムを【音楽】と認知して楽しみます。それがどうしてなのかは解明されていない部分。

そして認知した音を思考し、最後には言語化して感想を言ったりします。ここにも意図がつきもの。「批判してやろう」という意図で思考されればもちろん言語は「キツいモノ」になりますし、「良いところを見つけて、伸ばしてあげたい」という意図で思考されれば言語も「優しいモノ」になります。要するにどんな演奏であろうが受け手側の思考+言語化の意図によってどういう感想にでもなる、ということ。

いくらいい音楽を認知したところで、思考+言語化というエフェクトはバイパスできません。認知の部分は正直で、脳波系を見れば心地よく感じているか心地悪く感じているかくらいはわかるんですが、観客全員にやってもらうわけにもいきませんし笑


終わりに

今回はなかなか良く《枠組めた》と思います✨

それぞれの領域を詳しく論文を読み読みしながら深めるとしましょう(^O^)/

  1. 意図/ 楽曲構成/ 楽器編成
  2. リズム/ メロディ/ ハーモニー
  3. 音階/ 音色/ 装飾音
  4. ノイズ/ 周波数特性/ 残響/ 音圧/ 配置
  5. 認知/ 思考/ 言語化

明日は何を書こうかな?


京都の尺八奏者ー元永泰輔(Motoshakku)


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